5kappafamily’s blog

知人と一緒に童話を作成しています。これから挿絵を入れて絵本にしたいと思います。

Various ways of feeling   How to feel nat(自然)

かっぱ達は、空を見上げるときは決まって
大きな木々の下からなのです。
遠く広がる大空を望むより、

下から見上げる青空が好き(みたい)。

透き通って見える葉っぱの裏側は、うす~い緑。
葉と葉が重なり合っている部分はちょっとこい~い緑。
枝は影となりこい~い黒。

隙間から見える空はまっさお。
どんな名画もかなわない。

すばらしい今だけの景色。


大地に寝そべって見上げたり、
ゆっくりとした河の流れに体をあずけ、プカプカと
仰向けになりながら見上げる。

「青空の中へ雲と一緒に流れていく感覚」
大空の中に雲といっしょに浮かんでいる感じ。

わかります?

雨上がりにできる大きな水溜りに映る大空。
そこには、もくもくとした雲があり、

色が映るはずもないのに青くひろがる空。

ずーっと見つめているとやはりそこは大空。
そっと水溜りに足を踏み入れる。

「青空の中へ落ちていく感覚」
高いところから飛び込んだ時の
体がスーッとする感じ。

わかります?

「青空の中で漂っている感覚」
雲のある青空のなかで浮かんで
体がフワフワとした感じ。

わかります?

水の中なら平気でも、空を飛ぶことの出来ない
かっぱ達にとってはとっても

斬新な感覚におちいるのだそうだ。
唯一、空を飛べる感覚を味わえるひとときなんだって。



大空をそのまま見上げてはダメ。ものひとつ隔てて
見上げることの距離感から感じられる安心感。
枝やはっぱの合間から見える青空こそ
安らぎを憶えるのだそうです。

 

新 作:全13編中 小川編の「かっぱとさわがに」 と 花畑編の「かっぱとみつばち」完成!

山、川、湖、小川に田んぼ、それに海にまでも出かけて行く。

 

 

読むごとにかっぱ達の純粋さが感じられる物語。

少しだけ環境問題に触れながら、子供達みんなが小さな国の住人みたい

に素直に育ってくれたら良いなと願っています。

 

(小川編)

かっぱとれんげそう(作成中)

(山編)

かっぱとブナの木(作成中)

(川編)

かっぱとコイ(作成中)

(湖編)

かっぱとカモ(作成中)

(川編)

かっぱといわな(作成中)

(山編)

かっぱとうま(作成中)

(田んぼ編)

かっぱとたにし(作成中)

(小川編)

かっぱとさわがに(※)

(花畑編)

かっぱとみつばち(※)

(小川編)

かっぱとざりがに(作成中)

(高原編)

かっぱとしらかばのき(作成中)

(海外編)

かっぱとてんとう(作成中)

(食材編)

かっぱと12ヶ月のレシピ(作成中)

新作:かっぱとさわがに


 

さるかに合戦って昔話 知ってるかい?

 

僕らがここに住み着くずっと前から この地を守ってくれていた

げんごろう川となみだ川の交わる泉ヶ淵に奉られている

「蔵っこさま」が 子がっぱのみぃちゃんに聞きました

 

知ってるよと みぃちゃんが言いました

 

さるに痛めつけられたかにに代わって

石臼と蜂と栗と共に 猿をこらしめるお話しだけど

これには 続きがあるんだよと お話をしてくれました

 

蜂が刺し 栗が囲炉裏から飛び出して火傷を負わせ

石臼は屋根裏の梁から飛び降りて 猿を押さえつけるはずだったが

勢いあまって 石臼は 押しつぶして猿を死なせてしまった

 

蜂は猿を刺した事ですぐに死んでしまい

栗は大火傷をおって 大急ぎで地中にもぐったが 芽を出す事はなかった

その時 既に付喪神になっていた石臼だけが残った

 

あれから100年 200年と 猿を死なせてしまったその事が

頭から離れず その過ちにさいなまれ涙しつづけ

いつの頃からか 石臼は泣き臼と呼ばれるようになっていた

 

 

亡くなった猿の話は 遠くの山々に住む猿仲間にも伝わった

猿達は付喪神になっている石臼に恐れをなしてか

あれから一切関わりあう事はなかった

 

しかし 蜂や栗に対してはそうではない

1年のうち わずかの期間に一生懸命採めた あまい蜜を横取りしたり

多くのとげで守られている栗を 起用にもほじくり返したり

蜂や栗に対して容赦なく いっこうに改心する事はない

(かっぱも猿達とは あまり仲が良いほうではなかった)

 

子がっぱのみぃちゃんは 「蔵っこさま」に

なんでそんなに昔の事をいろいろ知っているの?

いつからここにいるの? と聞いてみた

 

「蔵っこさま」は ある修行僧の手によって彫られた地蔵であり

道行く人々の安全を願って ここに この木の下に奉られたそうだ

 

来る日も 来る日も ここで色々な話を聞いてきた

900年 いや1000年 くらいは経ったのかな?

 

 

小さな国の近くにも さわがに達はいる

流れる川や沢にたくさんいたが ちょっと動く影にもおびえ

岩と岩の隙間にもぐりこんで隠れてしまう

近くに隠れる場所がないと 大きなハサミを高々とふりかざして

真っ赤になって威嚇するので

小さな国の住民達も あえて関わろうとしなかった

 

そんな さわがに達を不思議がって見ていた みぃちゃん

その中でもひときわ大きなさわがにに 聞いてみた 

 

さわがにの名はタク 左右のハサミの大きさが違っていて

自分の体とほぼ同じ大きさの右腕のハサミが

やけに重そうに感じられ やや右側に傾いているようだった

 

タク達は 何でいつも おこってるの?

悪気もなく堂々と聞くもんだから 屈託がない

 

 

タクは 子供の頃から聞かされている歌を みぃちゃんに聞かせました

 

ちょき ちょき ちょっきん がっしゃ がしゃ

猿どんと おにぎりを交換した ♪

 

ちょき ちょき ちょっきん がっしゃ がしゃ

かわりに柿の 種ひとつ ♪

 

はやく実がなれ 柿の木よ

どんどん大きくなれ みんなでおいしく食べよう ♪

 

猿どんと 一緒に食べよ あまい あまーい柿 食べよ ♪

 

ちょき ちょき ちょっきん がっしゃ がしゃ

猿どん あまーい柿を とっとくれ ♪

これはおいらのあまい柿 あおい柿でも食べてくれ ♪

 

ちょき ちょき ちょっきん がっしゃ がしゃ

それなら おにぎり返しておくれ ♪

 

ごめんね カニどん おにぎりは 返したくても 腹の中 ♪

 

 

みぃちゃんが知っているさるかに合戦の話と 同じ内容だった

 

彼らは またおにぎりをだまし取られるのでは?と

神経をとがらせて ハサミを高々とふりかざして

今でも そのような強迫観念に駆られて 

ほかとは関わろうともせず

真っ赤になって 威嚇する

 

タク達が おこっているのは 本能でそうしているらしい

 

みぃちゃんは その話をかっぱの長老達に話をしました

その話は 今まで関りをもたなかった山の動物達にも伝わって

小さな国の住民達は ある計画をたてました

 

 

小さな国の中心にあるしらかばの木の下で

毎月行なわれる大鍋の日があります

 

その日に 小さな国の住民達はみんなで

大鍋で餅米を蒸して かっぱの大好物のお餅をつくりました

それは みんなでお腹いっぱい食べても

食べきれないほどの 数でした

そして タクの仲間達みんなを招待したのです

 

彼らの両方のハサミに お餅をひとつずつもたせました

100匹 200匹 300匹 400匹 500匹 

続々と岩の陰から お餅を求めて出てきます

それでも まだお餅は無くなりません

 

小さな国には 猿達はいないので 安心して下さい

とかっぱの長老達は タクに言いました

そして秋には柿もいっぱい取れるから

また来てくださいねと つけ加えた

 

 

しらかばの木の下で ひと仕事を終えた

石臼さんが 休んでいました

 

そう言えば みんなでお餅をつくときに

泣き臼さんの出番だよ 呼んでいましたが

あの昔話の石臼さんだったと みぃちゃんは気づきました

 

でも 今ではニコニコと笑顔だったので 安心しました

 

タク達さわがには 小さな国の住人達や山のみんなと

少しづつ打ち解けて 今では 共同の洞窟温泉に浸かりに来るほどです

岩風呂に浸かっては 茹であがる前に出てと大忙しです

 

めでたし めでたし ♪

 

おわり

新作:かっぱとみつばち


 

ブン ブン ブン

 

今日も、多くのみつばちたちがそうしている様に

あま~いミツ集めに大忙し。

でも、1匹のみつばちが通常では考えられない位

天高く飛び上がりました。

 

いやっほう!お日様さんさん。

風をうけてどんどん上へ。もっと上へ。

 

名まえは「ふう」。

いつもと違う花のミツを探してみたい気持ちで舞い上がりました。

 

ふうの家族は、10,000匹の大家族。

そして、ふうは10,000番目の末っ子。

甘えん坊で、いたずらん坊。

きかん坊で、めずらしもの好きなみつばちです。

お父さんとお母さん、そしてふうを数えて9,998匹の兄弟たち。

 

ブン ブン ブン

 

高い空から見るそこは、いつも見る風景とは違って

全てが小さく見えました。

家族たちも、いつもの黄色い花畑も小さく見える。

でも回りにはおっきな山がある。もうちょっと高く飛んでみよう。

 

 

チュン チュン チュン

 

「どいた、どいた、どいた!」フラフラとんでるなと、

すずめたちがどなっています。ハッと気づくと、

遠かった山も近くに感じられました。

 

ブン ブン

 

あれ、風でだいぶ飛ばされたみたい。

ふうはちょっと心配になってきた。

 

「寄り道しちゃだめよ、ふう」とお母さんが言ってた。

「迷子になるなよ、ふう」とお父さんが言ってた。

「帰り道がわからなくなっちゃうぞ、ふう」と

お兄ちゃんたちが言ってた。

 

いつもまわりから聞かされている言葉が、

急に頭に浮かんで心ぼそくなってきました。

 

ブン

 

もう家族たちや、いつもの花畑もわからない。

でも、川はわかる。キラキラ光るまぶしい川。

いつもの花畑はあの川のそば。

ふうは風に流されながらも、

やっと黄色い花畑のある川までおりてきました。

 

 

ブン ブン ブン

 

いつものあま~いにおいにつられ家族のもとへ。

でも、確かに回りはみつばち達なのに知らない顔ばかりで、

体もひとまわり大きい。

そればかりか、よってたかって羽でこずかれます。

 

ブン ばちん ここは僕らの花畑だぞ

ブン ばちん あっちへ行け あっちへ行け

ふうの家族たちではありませんでした。

 

ブン ばちん こずかれた勢いで、

一度は地面にたたきつけられましたが、

川のほとりにあるたんぽぽまで、やっと飛んできて羽を休めました。

 

それを見ていた1匹の小さなかっぱ。

一体、どうしたんだい はち君?

 

はちと言われたふうはちょっとムッとした。

他の種類のハチとは、一緒にされたくないという気持ちが

彼にはあるらしく、その気持ちを察して言いなおした。

 

やあ、僕の名はしずく。君の名前をおしえてよ。

 

ふうは気を取り直したらしく、

 

ブン ブン ブン

 

「僕は日本みつばちのふう」と誇らしげ。

いろんな花の蜜を探してるんだけど、

ここは他のみつばち達の花畑だったみたい。

迷子になったなどとは言えませんでした。

 

 

この川辺の花畑の事なら何でも聞いておくれ。

しずくは、みつばちの好きな花畑の事をよく知っているみたいでした。

 

今の時期は、れんげや福寿草、クロッカスに菜の花。

これからはアカシアかな?

 

実は人間が買い取ってくれるはちみつのお金で、

花畑を増やしているみつばちの友達から教えてもらったのでした。

彼らはそのはちみつを、森の仲間たちにもおすそ分けをしてくれるのです。

じゃがいもの煮付けに入れたり、煎餅に塗ったり、

飲みやすくかっぱの妙薬に混ぜたりと大助かりしています。

特に、花びらの散る期間限定の山桜の蜜は最高。

ほんの少量しか取れないらしく、

森の仲間たちも何年も前から楽しみにしてるんだそうです。

 

それじゃ、はじめにれんげ畑につれてってあげるよ。

ちょっと川をさかのぼるけどいいかな?としずく。

 

 

ブン ブン ブン

 

「いこう いこう!」 ふうは羽の痛みや、

迷子になっている事なんて忘れてます。

れんげ畑につくと、しずくの話も聞かずにすかさず花びらの奥へ。

 

ゴソ ゴソ ゴソ

 

「くすぐったいよ。どうですぅ、私のミツは甘いでしょ」とれんげ草。

 

ペロ ペロ ペロ

 

確かに、れんげはこれまでにない位ふんわりした甘さでした。

ミツをもとめて。もっと花びらの中へ。もっと奥に行けそうです。

あれ?どこまでも、もぐって行けます。

 

ふうは体中いっぱいミツをつけながらもぐって行きました。

その中は、意外と広い。明るくて雲の中にいるみたい。

その中は、あちらこちらに道が分かれていて、

さらにその先も道が分かれています。

その中では、ふうは自分の力で飛んではいませんでした。

ゆっくりと吸い込まれているような感じで、流されているようです。

すごくゆったりとした感じで気持ちがいい。

すると、外の太陽のひかりが見えてきました。

 

 

ぬけ出ると、そこは別の花畑でした。

ふうは、首をかしげました。

たしか、れんげ草の花びらのなかをもぐっていたのに?

 

「それはね、花のトンネルだよ」としずく。

そこは福寿草の花畑でした。花から花へ。ミツからミツへ。

これは、みつばちの友達が使う近道。

みつばちの間では、「ハチミツロード」と言っているそうです。

 

まわりのふわふわした雲の道は、

多くのみつばち達が通ったおかげであま~い「わたあめ」になっています。

森の仲間たちは、おやつにちょっとだけご馳走になっていました。

 

いらっしゃい、いらっしゃい。みつばちさんよく来てくれましたね。

どうぞ、いっぱいのミツを持ってって下さいと福寿草

 

ふうは、福寿草のミツをペロ ペロ ペロ。

あちこちの花びらを飛び回っています。

これはちょっと固めの、でも香り濃くいい甘さ。

この場所はわかりません。でも、この香りを覚えておけば、

別な場所でも福寿草を発見できそうです。

 

「また、奥までもぐってみてよ。」としずく。

 

 

ゴソ ゴソ ゴソ 

 

これも深くもぐって行けました。

さっきと同じく、いくつかの分かれた道を流されて行きました。

遠くから、なにやら歌声が聞こえてきます。

だんだんと大きくはっきりと聞こえてきました。

 

そこらの土は、ド~ロドロ ♪

あちらの土は、パ~サパサ ♪

ここらの土は、フ~サフサ ♪

あの土、この土、クロッカス ♪

育ててくれた、フ~サフサ ♪

 

そこは、クロッカスの花畑。

クロッカスは、いつも楽しく歌っています。

 

ゴソ ゴソ ゴソ  

 

このミツはさらっとしてるようだけど、深い味わい、いい感じ。

お母さんが好きな甘さだ。と思った瞬間

迷子になっている事を思い出しました。

 

 

ブン ブン

 

このまま、迷子のままだったらどうしよう。

あたりも少しづつ日が落ちてきて、暗くなりかけていました。

 

ブン

 

急に元気がなくなったふう。

黄色い花がいっぱい。そう、川の回りが全て黄色い花畑に行きたいな。

ふうは、いつもの黄色い花畑の事をしずくに伝えました。

 

たしか、ふうと出会ったあたりも「黄色い菜の花」がいっぱいだったな、、、。

 

しずくは、ふうが帰る家を探しているのだろうと気づきました。

そして、みつばちのハチミツロードは「行きたい花畑」を考えると

そこにつながるのだと教えてあげました。

 

ふうは精いっぱいの記憶をあたまに思い描きました。

いつも家族でハチミツを集めている黄色い花畑を。

 

 

ゴソ ゴソ ゴソ

 

クロッカスの花びらの中にもぐりこみました。

急に強い風に吹き上げられ、さらには一気に川を流される

流木のように吸い込まれていきました。

さっきまでのように、ゆっくりもぐっている感じではありません。

早くその場へ行きたい。という気持ちも伝わるみたいです。

 

すると、いつもの黄色い花畑のミツの香りがしてきたかと思うと、

出口が見えていきおいよく空に吹き上げられました。 

 

ブン ブン ブン ブン ブン ブン ブン

 

ふうの羽音が強く、元気に感じられます

ジグザグ、小回り、大回り。四方、八方、宙返り。

ダンスでも踊っているかのごとく飛び回っています。

そう、ここはいつもの黄色い花畑。

 

「ふう!」

 

お母さんとお父さんが、この花畑で待っていてくれたのです。

ふうは涙をこらえているようです。

それを見ていたしずくは、「じゃ、またねっ」と川の中へ帰って行きました。

 

しずくが、くるりと甲羅を向けたが先か、

ふうはお母さんにしがみついて羽音にも負けないくらい泣きじゃくりました。

しかられると思っていましたが、

もうひとりで遠くへいっちゃいけませんよとお母さんから

一言だけ言われただけでした。

 

10

 

ふうは部屋に帰ると、お母さんをひとりじめ。

お母さんの作ってくれた暖かくとろ~りあまい三つ葉のスープを

飲みながら、ふわふわ綿毛のベットに寝転んでいます。

お母さんはふうの少しおりまがってしまった羽根を、

ていねいに伸ばしてやりました。

気持ちよさそうに、うとうとしながらもかっぱのしずくと

友達になった事や、ハチミツロードをぬけていろんな花畑の

ミツの話を自慢げにしました。

 

お母さんは、ハチミツロードの事など聞いた事もありません

でしたが、ふうの話に相づちをうって聞いていました。

今度僕が、れんげや福寿草、クロッカス畑に連れてってあげるね。

でも、これからはアカシアかなとしずくの言ったことをまねてます。

 

ふうは、それから何度もいろいろな花畑を見つけては、

花の中をもぐってみましたが、あの不思議な感覚の道

「ハチミツロード」は見つかりませんでした。

 

ふうは、いまでも川辺に行っては、かっぱのしずくを探していました。

しかし、きれいな川でしか生きられないかっぱのしずくたちは、

最近汚れてきたこの川で遊ぶ事ができなくなっていたのです。

ふうはいつか、しずくの仲間たちが住んでいる山まで

飛んで行こうと思っています。

    

おわり

サイドストーリー:第14作:かっぱ見聞録 お気に入りの 秘密の場所


プロローグ

 

やすがっぱとまゆがっぱには、

お気に入りの秘密の場所がいくつかあるんだ。

はじめは一ヶ所しかなかったけど、

ここ最近は数ヶ所見つけたようで、

ちょっとずつテリトリーを広げている。

大好きな富士山を誰にも邪魔されずに独り占めできて、

すべての束縛から解放される場所・・・

そんなお気に入りの秘密の場所で、木々の緑や青い空を、

夜には満点の星をながめ、お肉を焼いてご飯を食べたり、

お昼寝したり、キャンプしたりを楽しんでる。

 

僕ら5がっぱは、といえば、

しか君やいのししさんやウサぴょんたちと

山の中を走り回って遊ぶのが大好き。

遊び疲れて、やすがっぱやまゆがっぱのおなかの上での

お昼寝するのも気に入っている・・・

これがふかふかで二人の呼吸でおこるおなかの

上下動がゆりかごみたいで最高にきもちいい!

やすがっぱとまゆがっぱは、バーベキューやお昼寝を楽しんだ後に

山のふもとの温泉につかるのも楽しみの一つにしている。

僕ら5がっぱもひそかにお皿と甲羅を隠して、お風呂で泳いでるんだけどね・・・

あったかですっごく気持ちいい。これははじめての体験。

川も良いけど、温泉っていうのも、悪くない、うん!

僕ら5がっぱも温泉が大好きになった。

 

そして、お山の夜の醍醐味は、ナイトサファリ。

やすがっぱとまゆがっぱは、温泉から上がっての帰り道、

夜の山の動物たちとの思いがけない出会いに

ドキドキ・ワクワクしている。

やすがっぱとまゆがっぱが大事に、大事にしているお山の動物たち・・・

お山の自然を愛する2人だから、出会えたお山の動物たち・・・

 

1.テン君へ

 

やすがっぱとまゆがっぱは温泉を出た後の、ナイトサファリツアー。

その日は、山の下り道に、木の枝に光る目を見つけた。

枝から下がる黄色と先っぽが白い尻尾、テン君だったよう・・・

そのときには、近くでは見ることができなかったけれど。。。

 

それから何年経っただろう…いつもの秘密の場所に向かっている途中、

やすがっぱが道路わきにテン君を見つけた。

でも、テン君は動かなかった・・・冷たくなっていた・・・

それでも、テン君は愛らしく美しい姿をしていたんだ。

あの夜、木の枝から、自分を見つけて喜んでくれたことが

嬉しかったテン君が、やすがっぱとまゆがっぱに

お別れの挨拶をしに来たのかもしれない、とぼくら5がっぱは思った。

まゆがっぱは、野性児のようだけど、

実は6本足や8本足の生き物があまり得意ではないし、怖いらしい・・・

絶対、自分では触ったりしないんだけど、

死骸のテン君を自分で埋めてあげるのだと言って、穴を掘って、

いとおしそうにその穴にテン君を埋めてあげていた・・・

その時、まゆがっぱは、テン君に声をかけてた・・・

何で死んじゃったの?会いにきてくれてありがとって。

これからは痛い思いや悲しい思いをせずに、楽しく暮らしていくんだよって。

ぼくら5がっぱのかっぱ姫らしいよなぁ・・・、

死んでしまったテン君に自分ができることを一生懸命していた・・。

 

その数週間後、その山道を通った時、

テン君を埋めた穴が掘り返されているのを発見した。

僕ら5がっぱもショックだったけど、

まゆがっぱもかなりショックだったよう・・・

やすがっぱは自然界はこうやって生態系が保たれているのだから・・・

とまゆがっぱをなぐさめていた。

数日後、やすがっぱは、テン君、食べたのだーれだ?・・・と

得意の絵を描いて、テン君を思い出リストにのせてくれたんだ。

やすがっぱとまゆがっぱは最高のバディだよね、ホント。感動・・・。

 

2.三つ子のウリ坊へ

 

富士山の眺めが最高な道志の山合いに、

ほんの少しせり出すようにしてできている小さな小高い丘がある。

ここがやすがっぱとまゆがっぱの秘密の場所の第1号。

今日も絶好のお天気に誘われて、秘密の場所1号で、

僕ら5がっぱは、やすがっぱとまゆがっぱと一緒にのんびりタイム。

いつものように動けなくなるくらいお腹いっぱいに

お肉やたこ焼きやおいなりさんをたいらげ、

暖かな日差しの中、やすがっぱとまゆがっぱのお腹の上で、

思いっきりお昼寝を楽しんだ。

目を覚ますと、富士山が夕焼けに染まって茜色・・・

すっごくきれい・・・

心が洗われるってこんな気持ち・・なんだろうなぁ・・

そしたら、まゆがっぱが、いろいろな物や人を大事に思いやることが

できるあったかな気持ちを持ってるから、

夕日に染まる富士山をそんな風に感じることができるんだよって、

教えてくれた。

僕らもまんざらでもないでしょ・・・えっへん!

そんなあったかハートの僕ら5がっぱとやすがっぱ・まゆがっぱは、

この後、もっと心がポカポカになる出来事に遭遇する・・・

食べて、寝て、・・富士山も堪能して、いざ至極の癒し、

ふもとの温泉へ向かって、山を下ろうとしたそのとき、

僕らのすぐ目の前を、ずんぐりむっくりまんまるウリ坊たちが

きちんと一列に並んで道路を横切ろうとしていた。

ウリ坊3兄弟は、ふかふかまんまる。僕ら5がっぱに驚いて、

先頭のウリ坊が横切るのをためらい立ち止まぅてしまった。

進むべきか・戻るべきか一瞬戸惑ったんだろうなぁ。

先頭のウリ兄が急に止まったから、2、3番目にいるウリちゃんが

ぶつかりそうになって、あたふたしていた。

でも、どうやら先へ進むことにしたらしい・・・

やすがっぱもまゆがっぱもそっーと物音をたてないよう、

ウリ3兄弟を見守ってたっけ。

やすがっぱとまゆがっぱは、

「驚かしてごめんね・・・ゆっくりでいいよ・・・気をつけていけよ・・・」

「ずっと元気で、仲良く暮らして行けよ・・・」って、

ウリ坊3兄弟に話しかけけてた。

夕焼けの空が、茜色に染まり、

言葉にできないほど美しく目に映ったよ・・・

僕ら5がっぱは、やすがっぱとまゆがっぱに出会えたこと・・

生涯の宝物だと、この日もそう思ったんだ。

 

3.ヤモリンへ

 

最近、やすがっぱとまゆがっぱにはお気に入りの場所が増えたんだ・・・

今日の集合は早川だからねっ・・・ちょっと遠いから、

早くに出発するようにって、まゆがっから僕らは500円玉をもらった。

早川??。

いつもの道志や秋山や山中湖や河口湖もどんどん過ぎて、

本栖湖からひと山を越えたとこに、

新たなお気に入りの場所を見つけたみたい。

大きな富士川の支流になるのかなぁ・・・

そこが早川だった・・・

やすがっぱとまゆがっぱのお気に入りに認定された、

そこは、緑濃く、日向の匂いと川の水音が心地良い場所で、

僕ら5がっぱもすっごく気に入ったんだ。

最初は、やすがっぱが先に見つけて、あまりにも感動。

絶対にまゆがっぱを連れてこなければって・・・

思ったんだって。

2人そろって、初めて早川を訪れたとき、

川沿いに鹿さんやいのさんたちを狩って、

その肉を加工する処理工場を見つけた。

その加工場には、鹿さんやいのさんを追って仕留めるための

ワン君たちが飼われていたんだけど、まだ狩猟にはいけない

子犬たちが尻尾を振り振りして、じゃれてきて可愛いくってさ。

まゆがっぱはその子犬たちと遊んで、すごくたのしかったみたい。

なぜか、ウズちゃんも飼われていた・・・

そのウズちゃんたちもなんか可愛くてさぁ・・・

さらに、その加工場の先に、小学校の跡地を利用した宿泊施設を見つけた。

やすがっぱもまゆがっぱも、その小学校を再利用した施設に

泊まってみたそうにしていた。

僕らは絶対、2人は近いうちに、ここに泊まりに来るだろうなぁって見てた・・

 

それから、1年も経たずに、やはり2人はこの小学校を再利用した

施設の裏山ログハウスにお泊まりしにやってきた。

その日は、あいにくの大雨になっちゃったけど、

ログハウスで焼き肉したり、温泉つかったりして、

のんびりを楽しむことにした。

この温泉が硫黄臭くて、まいっちゃったけどね・・・

硫黄の匂いが嫌いなやすがっぱにとっては、

お気に入りリストの大きな減点になってしまったようだ。

 

追伸1

 

あの鹿さん・いのさんの天敵となるであろう狩猟犬の子犬たちは、

その時には、大きくなっていて、子犬でなくなっていた。

でも、僕ら5がっぱとやすがっぱ・まゆがっぱを見つけても、

そっけなく目を向けて、いぶかしげにしてるだけだった。

まゆがっぱはそんなワン君たちに少し寂しそう・・で、

つまんない大人になったねぇと言ってたっけ。

鹿さんやいのさんを追わされて、甘いばかりの日々でなくて、

無邪気にじぁれることができなくなってしまったんだって・・・

僕ら5がっぱは思うんだ。

 

追伸2

 

これは、早川から、家に帰ってから発覚したことなんだけど・・・。

やすがっぱとまゆがっぱと僕ら5がっぱはお腹いっぱい食べて、

くぅくぅすやすや・・夢の中にいたころ、大変なことが起きていた。

 

翌日、お天気は回復。

早川から離れ、少し山を登った雨畑の見晴らしの良い道路で、

ほうれん草盛りだくさんのラーメンをつくって食べて、お昼寝・・・

早川を満喫して家路に着いた。

家に帰って、まゆがっぱは洗濯物をカバンから出して、

洗濯かごに放り込み、カバンのところへ戻ってくると、

カバンから、黒いものがでてきたとこだった。

その動く黒いものはカバンから降り立って床にはりついた。

どうやら、ヤモリの子供らしい・・・

床に張り付いたヤモリン。

それを身動きせず見つめるまゆがっぱ。

互いにしばしの沈黙。睨みあいを続け、互いに相手の出方をさぐっている

ヤモリンとまゆがっぱの間には、

「アンタ、誰?」「そっちこそ・・」みたいな無言のやりとりが

されていたんだろうと思う。

この瞬間に、まゆがっぱは、頭をぐるぐる回転させてた・・・

次に早川に行くまで一緒に暮らす?

餌はどうする?駄目!生きた虫しか食べないはず・・

飼えない・・

そこまで考えたとき、ヤモリンが動きはじめた・・・

見失ってはいけない・・

とっさにまゆがっぱはヤモリンをつかんだ・・・

でも、ヤモリンの手には吸盤があるから、床からなかなかはなれない・・・

それでも、何とかヤモリンを床からはがし、

ガムがはいっていた入れ物に入れることに成功。

まゆがっぱは実は虫が苦手、なのに必死だったんだろうなぁ・・

 

初めて、手にヤモリンを噛んでみたら、真っ黒で、

オタマジャクシ見たな頭で、手がカエルみたいで、

まゆがっぱはヤモリンをかわいいと思えたらしい・・

このガムがはいっていた容器にいれておいても死んでしまう・・・

こいつのために一番良いこと・・・

早川に返してあげること・・・

でも、できる?できない?・・

自問自答してたまゆがっぱ。

結局、まゆがっぱはそのヤモリンをいれた容器をもって外に出た。

せめて、こいつに自分がしてあげれること・・・

それは、ヤモリンがこれから何とか生きていける場所へ

はなしてあげることだと考えたらしい。

「早川のおうちに返してあげられなくて、ごめんね・・」

お母さんやお父さんと離れ離れになってしまうけど、

さびしくなったら、まゆがっぱん家に戻っておいでって、

言いながら、近くの土があって草や木が茂っている

木造の古びたお家の庭に放してあげたんだ。

ここでなら、新しいヤモリンの棲家になる、なるはず・・・

と信じたかっただろうなぁ・・・

「また、出会えることがあったらいいね・・・

きっとたくさんお友達を作って、

ヤモリンは元気に暮らしていくよ・・まゆがっぱ」

と、僕ら5がっぱはそう声をかけたかった。

でも、ヤモリンが姿を消してもなかなかその場から

離れることができなかったまゆがっぱに、そう声をかけることはできず、

ただまゆがっぱと一緒にそこにしゃがみこんでた。           

 

早川のログハウスに住んでたヤモリン。

夜中に大はしゃぎで遊んでいたら、

黒いカバンの中のふかふかタオルを見つけて、

そこで気持ちよく眠りこんでしまったんだろうなぁ・・

気がついてみたら、やけに明るい近代的な電気のフロアが広がって、

さぞビックリしただろうなぁ

さらに知らない奴が目の前に立ちはだかっていて・・・

睨みつけられててさ・・・

僕ら5がっぱは、そのまゆがっぱVSヤモリンの光景が

今では可笑しくて、可笑しくて・・・。

 

まゆがっぱはヤモリンを早川に返してあげたくて・・・

ツバメ宅急便という物語を現在リライトしている・・・

ヤモリン、ファイト~!

 

4.ウズちやんへ

 

やすがっぱやまゆがっぱが、

うずら君たちに親近感を抱くようになった

お気に入りの場所がある。

藤野から陣馬山に向かう登山道の入り口で、

登山者が下りてきたり、登っていったりするから、

独り占めを楽しむことはできないんだけど、桜の季節には、

遠くに望む景色と桜の花びらがとても素敵なところがあるんだ。

初めて訪れたときには、ツリーハウスのような感じに仕立てた

見晴らし台があったんだけど・・・なくなってしまって残念・・・

その見晴らし台で景色を楽しんでいたとき、

やすがっぱの首筋に桜の木から毛虫が落ちてきて、

ビックリしたのを覚えているよ。

その桜の広場から山道に少し入ると、

木々で日差しが届かず薄暗い木々の下で、なんか」

ぐぅ・・ぐぅ・・・と音がしていた。

そのそばを山水が流れていたから、

どうやらカエル君たちの泣き声らしい・・

やすがっぱとまゆがっぱは、この、ぐぅ・・・という

地面の下から聞こえてくるカエル君たちの泣き声の発見にとても喜んでいた。

そして、まゆがっぱは、ここで悔しい思いをすることになったんだ。。。

ここでも、好きな物づくしのご飯をほおばり、やすがっぱはお昼寝・・。

まゆがっぱは腹ごなしに散歩をしていた。

やすがっぱが目を覚ましたちょうどその時、

登山道と畑の間の道で、ウズちゃんが道を横切ろうと

ひょこひょこ歩いていたのをみつけた。

これにもやすがっぱはすっごく喜んでいたっけ。

このことを、さっそくやすがっぱがまゆがっぱに話すと、

「えっえ~見たかった」とまゆがっぱはとても残念そう・・・

いやいや、僕ら5がっぱは思う。残念というよりやすがっぱ1人だけ、

うずちゃんを見たと悔しい思いのほうが大きかったはず。

だって、その後、その桜のきれいなお気に入りの場所を訪れた時、

ウズちゃんを見たくて、やすがっぱがお昼寝していると、一人でそそくさと

ウズちゃん探しの散歩をしているんだから・・さ。

やすがっぱ、気がついてるかなぁ・・・。

 

5.ケロッピィたちへ

 

やすがっぱとまゆがっぱのお気に入りの場所を見つける

探究心はさらにどんどん拡がっていて、

最近は、道志や秋山を越え、都留を超え、

富士山周りで過ごすことが多くなっている。

富士山の裾野原で、フジヤンに話しかけながら、

ご飯を炊いて、お肉を焼いて、思いっきり食べる・・・

そして、カッコウ君(これは、やすがっぱとまゆがっぱだけの

何の根拠もない定義なんだけど、カッコウはひと山に3羽いるらしい・・・

なんか恥ずかしいから他の人には言えないんだけどね、

そういうことにしておこうって、僕ら5がっぱは思ってるんだ)

セミ君や虫の声を子守唄にお昼寝・・・。

 

心と身体の栄養補給を満喫して、身体を整えに温泉へ向かう。

この日は、都留の温泉で、熱波というのを体験した。

ものすごく暑くて、僕ら5がっぱにはお皿の水が干上がっちゃうから無理だけど、

やすがっぱとまゆがっぱは気にいってたみたいだ。

温泉からの帰り道、熱波に参加して、汗だくになって喉が渇いたらしく、

やすがっぱとまゆがっぱは、山梨にしかないハッピードリンクという

自動販売機に立ち寄った。

 

自販機を照らす明るい電気にいろいろな虫たちが貼り付いている・・・と、

虫だけではない・・・

その虫たちを目当てに近くの水田に住むアマガエル君たちがやってきて、

自販機に貼りついてた。自販機の突起にお尻を乗せて、休みながら虫待ちをする

アマガエル君もいたりして、そこは、ケロッピィたちの楽園、

ケロッピィビュッフェになっていた。

その虫待ちする姿を発見したやすがっぱとまゆがっぱは

とても楽しそうで・・・ケロッピィたちが虫をパクリするまで、

ケロッピィのご飯待ちをした。

僕ら5がっぱも一緒に、そのご飯待ちをして、気がついた・・・

ケロッピィたちは結構、臆病らしい・・・

自分より大きい虫が怖いみたいで、大きい虫が近くに来ると.後ずさりして、

食べることができないでいた。笑えるでしょ・・・

 

そして、僕ら5がっぱはふと、思った・・・

これってさぁ、よくまゆがっぱが、やすがっぱに対して、

口にするあのひと言。

「でかいずう体して、ちっちゃ~」ってやつ。。。

ケロッピィもやすがっぱもきっとセンシティブなんだよねっ・・・

 

ケロッピィと言えば・・・もうひとつ。

まゆがっぱとお皿だけ水面に浮かべた僕ら5がっぱがさぁ、

いつものようにぬるーい温泉でのんびりしているところに、

いきなりケロッピィが温泉ダイブしてきたことがあったんだ。

温泉のスタッフの人からビート板を受け取ったまゆがっぱが

その泳ぐケロッピィを乗せて、スタッフに手渡したんだけど、

ビート板を受け取ったスタッフはケロッピィの乗ったビート板を外に出して、

パンパンとたたいて放ってた。

ビート板の上のケロッピィは目を閉じて、気持ち良さそうにしてたのにさっ・・・

僕ら5がっぱもやすがっぱやまゆがっぱに連れられて、

初めて温泉に入った時、温泉もありって思うくらい気持ちよかったから、

ケロッピィにももっと温泉堪能させてあげたかったよなぁ。。。

 

おわり

サイドストーリー:第13作:5がっぱの日記帳


1.変な癖 編

 

やすがっぱとまゆがっぱのお山ご飯・・・

二人はお山に行く前に、食料を調達しにスーパーへ立ち寄る。

自分たちの食べたい物を次から次へと買い物カゴに入れていくんだけど、

その量といったら、尋常じぁない・・・

そんなに食べられるはずないと思うほど、カゴに放り込む。

お山で食べるご飯は、何だって最高のごちそうになるから、

そんな大量のお肉やたこ焼きややきそばやサラダも、

帰る頃にはほとんどがなくなってしまうんだけどね・・・

 

ぼくら5がっぱは、というと、まゆがっぱから手渡される500円玉で、

まだ食べたことがない物を見つけては舌鼓を打つんだけど・・・

やすがっぱとまゆがっぱが今日は何を買うのだろうと気になって、

物陰に隠れて、二人の様子を追ってたりする。

やすがっぱは、まゆがっぱが喜ぶことが嬉しいから、量なんて考えず、

あれもこれもカゴに放り込んでいく・・・、

まゆがっぱに「そんなに食べられないよっ・・」って、

ブイブイ言われながらね・・・笑っちゃうでしょ・・

 

買い物中もお山にたどり着くまでの道のりでも、

まゆがっぱはやすがっぱに自分が見たり聞いたりして

嬉しかったこと・怒ったこと・悲しかったことを

とにかくしゃべりまくる・・・この勢いはすごいんだ・・・

僕ら5がっぱだって、聞いてるふりして流してることがしょっちゅうなんだ、

ホントはね・・・(まゆがっぱ、怒るだろうなぁ)

そして、やすがっぱも一生懸命聞いてあげてるけど・・・

よく「聞いてないでしょ」って怒られてる。

(やすがっぱも大変だね・・って僕ら5がっぱも、うなづいてる・・・)

だけど、そんな二人のやり取りで、道中もなかなか楽しい時間になるんだ。

 

このおしゃべりタイムで、笑っちゃうことがあるんだ・・・

まゆがっぱには、感情を表す言葉に癖がある。

当の本人はその癖に全く気がついていない。

なんかまゆがっぱって、しっかりしてそうなのに、

そういうとこが超ドン臭いんだ・・・

(僕らはそんなドン臭まゆがっぱも押しなんだけどね。)

 

そうそう、そのまゆがっぱの癖なんだけど、

何かに驚いたりした時に、「ハァッ!」って息を吐くんじぁなくて、

思い切り吸うんだよねぇ・・

これが独特でさっ、見てると面白いんだ。

僕ら5がっぱがそう思うんだから、

いつも弾丸のように話を聞かされているやすがっぱも、もちろん気がついてる。

 

この間、やすがっぱが、このまゆがっぱの「はぁ~っ」を真似して、

まゆがっぱ話に返しをしたら、ほんと笑っちゃうんだ。

「何をそんな大げさにっ・・・」って、

まゆがっぱは呆れたようにやすがっぱに返していた・・・

その時のやすがっぱの顔ったら・・・可笑しくて、可笑しくて・・・

まゆがっぱはその「はぁ~っ」が自分の真似なんて、

全然わかってないから、僕ら5がっぱは腹を抱えて笑った。

 

こりゃ駄目だわと思ったらしく、やすがっぱは

「大げさって言うけど、まゆがっぱがいつもやっているやつだよっ」って、

まゆがっパに告白した。

それこそ「はぁ~っ」って息吸いながら、

ようやく事の成行きが見えたようで、くの字になって、

お腹を抱えて笑い転げていたまゆがっぱだったなぁ・・・(楽しすぎるでしょ!)

 

もうひとつ、まゆがっぱの癖。

痛い思いをしたとき、皆「痛い!」とか「いたっっ」とかって口に出すけど、

まゆがっぱは「イッ!」で止めるんだよね。

僕ら5がっぱは、こんな風に思うんだ・・・

まゆがっぱは痛いことは、自分の中の負の部分だから、

外に出したくない・・でも痛い・・・だから「イッ!」で止めてる。

あと、周りが気にかけないように「イッ!」で止めてる。

やすがっぱはどう思う?

 

2.やすがっぱのご飯休憩 編

 

最近のやすがっぱとまゆがっぱのお山でのひとときは、

もっぱら、食べているか、お昼寝しているかがほとんどを占めている。

ぼくら5がっぱはといえば、山や森をごそごそ探索して、

鹿さんやうさぴょんや夏にめっぽう弱いアナグマ君(日差しの強い暑い日には、

日射病でフラフラになってるんだもん)

たちとおいかけっこなんかして動き回って、疲れると、

水辺を見つけて空をながめてプカプカ浮いてるのがお気に入りなんだ。

僕ら5がっぱが、やすがっぱとまゆがっぱと出会った頃の二人も

今となっては信じがたいほど、アクティブなお山での

過ごし方をしてたけどねぇ・・・やっぱ年をとったのかなぁ・・・

 

お山でのご飯タイム。いろいろな物が目の前に並ぶと、

景色なんてそっちのけでどこのはいるのか・・・

不思議なくらいにやすがっぱとまゆがっぱのお腹の中に消えていく・・・

二人には食べ方に違いがあると、僕ら5がっぱは思う。

まゆがっぱはとにかく、片っぱしからお腹がパンパンになるまで

一気に食べて、苦しいと言いながらお昼寝。

 

やすがっぱは、ある程度食べたい物を食べると、

食欲より眠気が勝ってきて、お昼寝に突入。でも、これは、

やすがっぱにとってはご飯の小休止らしい・・・。

小休止の後、再び食べ始める。

その時の欲求に身をまかせるのが、やすがっぱ流らしい・・よ。

(子供のころ、お行儀が悪いとおこられていたらしいけど、

それが心地よくって、やめられないんだって)

 

ある時、せっかくのお山ごはんなのに、朝マックを食べ過ぎて、

お腹があまり減らなかったらしく、やすがっぱもまゆがっぱも

軽く食べて、お昼寝を先行していた。

お昼寝から先に目覚めたまゆがっぱが何かもそもそと

不穏な動きをはじめた。

お腹がすいたらしい・・・

多分、まゆがっぱのことだから、気持ちよく寝ている

やすがっぱを起こさぬよう気をつけながら、なるべく音をたてないよう・・・

そして、おいしくお肉が焼きあがったら、

起こそうとしていたんだとは思うんだけどね。

 

シングルバーナーを組み立てて、火をつけるのが苦手なくせに、

結構がんばって、お肉を焼き始めたまゆがっぱだったけど、

お肉の焼ける良い匂いとジュッーという音で、とうとう

やすがっぱも目をさましてしまったんだ。

やすがっぱに、そっと背中を向けて、隠すようにして、

まずは味見で一足先にお肉を食べようとしたその時を

見つかってしまった。それを見つけたやすがっぱは

まゆがっぱが可笑しくて、可愛くって大笑いだったよねぇ・・

なんて楽しい二人なんだろう・・・

 

3.林道工事中の「2411」 編

 

やすがっぱとまゆがっぱは、久しぶりに二人の合言葉「2411」を探検しに行った。

二人の合言葉「2411」は、秋山を越えて、富士山に向かって

進む途中にある工事中の山道である。

リニアモーターカーの試験場があるその向かいに連なる山々。

その「2411」は、道志につながるのかなぁ・・・

林道工事が進められている。やすがっぱはその林道がどこまで、

進んだのかいつも興味津津で、二人は、確かめようと、

何度かこれまで「2411」に足を運んでいる。

一日中、頑張って歩いて行ったこともあるし、

こっそり車で忍び込んで行ったこともあるんだけど、

行くたびに、いろんな動物たちと出会うことも多くて、

それが2人の大きな楽しみになっているみたいなんだ。

 

車で行った時には、まだ大人になりきっていないイノ君に出会った。

驚いて逃げようとするイノ君が山の斜面を登ろうとするけど、

ずり落ちゃったり、今度は反対斜面を下ろうとしたけど、

傾斜が急で怖くて下れなくて、バタバタしていたその動作がドン臭いけど、

可愛くて・・さ。

二人のイノシシに対する印象が猪突猛進から

ドン臭可愛いにかわった瞬間だったし、

最近ではほとんど出会うことが

できなくなったうさぴょんも元気に走り回ってた。

歩いて登った時には、夏の時期で、

暑さが苦手なアナグマさんに出会ったっけ・・・

日射病でフラフラしながら道を歩いてたアナグマさん、

やすがっぱが後ろを歩いているのに、全然気がつかないことがあったよなぁ・・

ヌケ作なとこが愛嬌あって笑っちゃったんだ。

 

往きの道すがらに置いた(唐揚げだったかなぁ?)

その揚げ物の切れ端が、帰り道にはなくなっていて、

誰かが食べにきたらしいと、二人はワクワクして楽しんでたりもしてたよねぇ。

だけど、帰り道、日が暮れて暗くなってしまった時、

山の斜面でガサガサと動物が動く気配がしたんだ。

見えない斜面の上から追ってくるような木々が揺れる物音と

低い「うぅー」という唸り声がしたとき・・・

まゆがっぱの普段の強がりはいっぺんに吹き飛んで、

ただただ黙って、そそくさと首をすくめて歩きだした。

怖かったくせに、後になって、あの唸り声は「絶対、熊さん」

「熊さんに会ってみたい・・」って言い続けてる。

遭遇したら、ビビるくせに・・・ね

 

そして、今回は自転車で「2411」の林道が、

どこまで完成したのか確かめに、やすがっぱは自分のマウンテンバイクで、

まゆがっぱはレンタルの電動自転車で探検開始した。

まゆがっぱは、じつは電動自転車に乗ってみるのは2回目。

後ろからやすがっぱが来なくて、ルンルンよりも不安が大きくなって、

きた坂道を戻り始めた。

まゆがっぱは戻るうち、こんなに距離が開いてるのはおかしい・・

と思い始めてた。と、その時、やすがっぱがロードバイクではなくて、

歩いて坂道をのぼってきた。ロードバイクがガタボコ道で、

走り始めてすぐにパンクしちゃったんだって・・・

 

ロードバイクをそこへ置き、歩いてきたから時間がかかったんだね。

そこからは、やすがっぱと電動自転車の二人乗り。

急坂はさすがに電動自転車でも、前に進めなかったけど、

そんな時はまゆがっぱが自転車で、やすがっぱは走ったりしながら、

アクシデントなんか気にせず、「2411」を楽しんでた。

さすがに、林道がどこまで進んだかの確認はできなかったけど、

眺めの良いひらけたところで、

塩むすびや卵焼きややきそばやたこ焼きをほおばり、

腹ごしらえとやえがっぱはお昼寝までも楽しんだよっ。

 

帰り道は一気に2人乗りでジェットコースターみたいだったね・・

ガタボのとこでは、まゆがっぱがお尻が痛いと絶叫・・

ガタンとなる時は教えろとか、前がやすがっぱの背中で見えないから

まがる時は教えろとか随分、偉そうにしてた・・・らしいよねぁ・・

そんな時、やすがっぱがリュックをクッションみたく

お尻の下にひいてみたら・・とやってみたら大正解。

まゆがっぱのお尻も元気になった。

今度は電動自転車2台と僕ら5がっぱは沢をつたって、

林道の進み具合を確認しに皆で行くんだ!楽しみだね。

 

4.伊勢海老釣り 編

 

ある年のお盆、やすがっぱとまゆかっぱは

海沿いのやすがっぱのお母さんのお墓にお参りに出かけた。

僕たち5がっぱは、海が楽しみでワクワク!いつものお出かけのときに

手渡される500円玉をそれぞれ握りしめて、

2人とは別に川を下り、海に向かって出発した。

海にたどり着いて、僕たち5がっぱは、500円玉で、

遊覧船に乗ったり、イカの丸焼きをほおばったりして大満足。

いつも500円玉は、あっという間になくなっていくから、

値上げ交渉中なんだけどね・・

なかなかまゆがっぱが手ごわい・・・んだなぁ。

 

お墓参りを終えたやす&まゆがっパを見つけたんだけど、

海沿いの町で、なんか大騒ぎしている・・・

近くに行ってみると、

まゆがっぱは、伊勢海老釣りに挑戦していた。

ホントなら1匹しか釣ってはいけないらしいんだけど・・・

まゆがっぱはどうしてもやすがっぱと一緒に伊勢海老を

食べたかったんだろうなぁ・・

1匹釣った後、まゆがっぱは、その釣った伊勢海老を

やすがっぱに即座に手渡し、釣り糸を手で補強しなおして

(まゆがっぱのここが抜け目ない凄さ・・・

と僕たち5がっぱは確信しているんだぁ)

そして、まゆがっぱは執念で2匹目もGet。

まゆがっぱはすっごく嬉しかったんだろうな・・・

やりきった感満載のドヤ顔でさ・・僕ら5がっぱもそうだけど、

それを見たやすがっぱも苦笑してたよ・・・

 

なんで・・・そんなに・・と知らない人達は思うだろうけど・・

僕らにはわかるんだぁ・・・

まゆがっぱは1匹だと海老大好きなまゆがっぱに食べろって、

やすがっぱはきっと食べないから・・・

どうしてもやすがっぱの分を釣りたかったんだって・・・。

嬉しいことやおいしいものは一人じぁなくて、一緒がもっと嬉しいし、

もっと楽しいし、もっおいしいんだって、僕らにいつも言ってる・・・

たぶん、やすがっぱも同じ思い、

楽しいこと・おいしいものはまず大事な人にって・・・

だから一緒に食べることができるように2匹だったんだ・・・

と僕らは思ってる・・・まゆがっぱってそういう人なんだよ。

 

5.酸っぱいプラムの想いで 編

 

今日も富士山をめざして、やすがっぱとまゆがっぱの休日が始まった。

まずは食料の調達・・・だ。

2人とも好きな物をどんどん買い物かごに放り込む。

僕ら5がっぱも隙をみて、おいしそうな物を見つけては、

そっと買い物かごに投げ込む・・・

なんて言ったって、500円玉だけでは、おこずかい不足だからねっ・・・

 

僕ら5がっぱとまゆがっぱはやすがっぱより一足先に、

果物・野菜コーナーを回り、お肉コーナーへ進んだ。

果物コーナーには、やすがっぱが好きそうなプラムが並んでいたけど、

「やわらかくって、酸っぱくなさそうだから・・」って、絶対言うだろうから、

やめとこうねって、僕ら5がっぱに言いながら、

自分と僕ら5がっぱの大好きな焼き芋だけは

しっかり買い物かごに投入して、お肉を物色。

そこへやすがっぱが追いついてきて、

見ると、プラムのはいった袋をぶら下げている。

プラム売り場で一番青くて酸っぱそうなのを持ってきた

・・と嬉しそうに言ってた。

それを見たまゆがっぱは何か嬉しそうにしてたんだ・・・。

やすがっぱがプラムを好きになったのは、

長瀞の自転車旅だったなぁ・・・と思い出を回想してたみたい・・・

 

僕ら5がっぱがやすがっぱとまゆがっぱに出会った頃、

2人は、自転車ツーリングにはまっていた。

だから、僕ら5がっぱは釜トンネルを

必死に自転車で越えてきた2と出会えたんだけどね

 

2人は、やすがっぱのツーリングが好きな友達に誘われて、

長瀞に出かけた。

絶好のツーリング日和???お日様が川岸の遊歩道をこれでもか・・

という位に照らし、流れる川の水は眩しいくらいに

キラキラ輝いていた。

やすがっぱとやすがっぱのお友達とまゆがっぱは、

荒川沿いの土手をどんどこどんどこ進む。

3人を見ながら、僕ら5がっぱは川をスイスイ進む。

そして、3人は川から遠ざかり、国道をさらに炎天下の中、

長瀞を目指して進んでいった。

ここで、3人と僕ら5がっぱはゴールの長瀞まで、

別れてすすむことになったんだけど、

この後、まゆがっぱに悲劇が襲ったらしい・・・

強い日差しを遮るものがない国道。

やすがっぱは、まゆがっぱの自転車をこぐ音が

気にかかり始めていた。

シャカシャカシャーというやる気のなさそうな自転車の漕ぎ方・・・

しっかり漕いでると、シャカシャカ・シャカシャカがつづくはずだから。

でも、シャカシャカ漕いでは、シャーで休んでいる・・・

「何で、へそまげているんだろう・・?」って、思ってたらしい。

そんな漕ぎ方だから、やすがっぱとお友達、とまゆがっぱとの距離は

どんどん拡がり、離れていった。

まゆがっぱは、その時、直射日光を後頭部に浴びて、

日射病になってたようで、頭がガンガンと痛んでたみたい・・・

とうとう、見つけたコンビニで止まり、飲み物を買って、

薬を飲んで休みをとった。

よほど、つらかったんだろうな・・・まゆがっぱが休憩をとるなんてさ。

(いつもなら、へこたれるような奴でないはず・・・なんだ)

 

追伸1

まゆがっぱってさぁ、その頃、週5でオフィスガールして、

土日と週1回、その頃大流行してたエアロビクスを教える

インストラクターもやってたんだ・・・

さらに、まゆがっぱのお父さんがまだ元気してたから、

清瀬のお父さんのとこへ毎週通って、

掃除したり、ご飯を作ってたりと、超超大忙しの毎日を送ってた。

ホントの休みなんて、お正月とGWとお盆

くらいしかなかったんじぁないかな。

それでも、それを楽しんで、楽しみつくして、大事に過ごしてた。

その位、へこたれない奴、進むべし、一直線。

(まるで、いの君。だから、いの君にお友達感覚えるんじぁないかな?)

 

「疲れないの?」って、僕ら5がっぱが聞くたび、こう答えるんだ。

やすがっぱと過ごす時間・僕ら5がっぱとの時間があるから、

何でも頑張ちゃうって・・・

そのくらいやすがっぱと僕ら5がっぱが

大好きで大事なんだって。。。

500円からお小遣いを値上げしてくれないまゆがっぱだけど、

僕ら5がっぱもそんなまゆがっぱが大好きなんだ。

 

追伸2

そして、大抵のことではへこたれないまゆがっぱは、

もうひとつ笑っちゃうほどの負けず嫌い。

ぼくら5がっぱと出会う前らしい・・・

やすがっぱから教えてもらったんだけどね・・・

こんなエピソードがあるんだって。。。

身体を動かすいろんなことをやってみたくて、

まゆがっぱは、やすがっぱを誘って、ラフティングとパラグライダー

ツアーに群馬に出かけた時のこと。

ラフティングなら、僕ら5がっぱ、まゆがっぱややすがっぱと出会っていたら・・

一緒にキャイキャイ遊べたのに・・・残念だったなぁ・・・。

川で水しぶきを浴びて、エキサイティングでスリリングな体験だったらしい・・・

そして、午後、今度は空を満喫するワクワク感いっぱいで、

やすがっぱとまゆがっぱはパラグライダーに挑戦したらしいのだが、

ここで、やすがっぱに悲劇が訪れた。

やすがっぱは何でも起用にそつなくこなすことができる、

いわゆるスマートな大人って感じなんだけど、

まゆがっぱは、超ドン臭い・運動神経0なやつだから、

(インストラクターだって、多分、人より何倍も何倍も練習したり、

レーニングしたりして、やり遂げた努力の賜物

なんだと僕ら5がっぱは確信している)

やすがっぱのようにパラグライダーをうまく空に舞いあがらせる

ことができなかったんだって・・・

やすがっぱは数回の練習で、小山の上から、

パラグライダーで空に羽ばたいていった・・・気持ちいいだろうなぁ・・・

まゆがっぱは下から、「いいなぁ。気持ち良さそうだなぁ.」と眺めてたけど、

これだけではおさまらないのがまゆがっぱだよねぇ。

何としても飛ぶ、絶対飛んでやると、ここで、あきらめてはならぬ・・・と鼻息荒く、

何度も、ホントに何度もパラを広げては走り、

広げては走り、寡黙に繰り返したらしい。

結局、見かねた指導員の人がやすがっぱが飛んだ小山ではなく、

その小山の下の丘から飛ばせてくれたんだって・・・

ちょっとだけど、これでまゆがっぱも空を感じることができたらしい。

きちんと風をとらえて空を舞うには無理があったんだろうけど、

その思いの強さに指導員の人が負けたんだと僕ら5がっぱは推測してる・・・

2種目の体験を終えたやすがっぱとまゆががっぱ。

ぼくら5がっぱが知る限り、いつもならやすがっぱとまゆがっぱは、

ここがこうで、ああで、と楽しそうにおしゃべりタイムを過ごすんだけど、

その時のまゆがっぱは、一言もしゃべらなかったらしい・・・

パラグライダーでやすがっぱと同じように

小山から飛べなかったことが悔しくて、ムクれていたんだって。

「何故、怒ってるんだろう」、その時のやすがっぱは、

まだまゆがっぱの恐るべし負けず嫌いをそこまで把握できていなくて、

困惑するばかりだったんだって。

でもね、僕ら5がっぱは思うんだ・・・

まゆがっぱのムクれは、やすがっぱに対しての悔しさっていうより、

飛べなかった自分に対しての悔しさ何だと。

そして、帰り道の途中で見つけた畑の真っ赤なミニトマトをGET

できたことで、そのご機嫌斜めは見事に解消されたんだって・・

ふふふっ。

なんたって、まゆがっぱはアメーバ細胞だからね。

かわいいとこもあるでしょ・・・大目にみてやってよ。。。

でも、大変だったね、やすがっぱ!

その苦悩、僕ら5がっぱもよくわかる・・・よ。

 

(話は沢山、間にはさまってしまったけど、)

休憩をとっていたまゆがっぱのところへ、

友達に先に行ってもらい、宿泊先で落ち合うことにしたやすがっぱが、

戻ってきてくれたんだ。

初めは「どうしたの・・」って、ちょっと怒り気味だったやすがっぱだったけど、

日射病で頭痛がひどかったことを知ると、何で言わなかったの・・・と、

やすがっぱの怒りは心配に変わったんだったよね・・・

まゆがっぱはあの時、一緒には進めなさそうだから、

一人でさがしながら長瀞を目指そう、

少し休んで、薬が効いてきてから、行こうとしてた・・・

心細いとか・・一人でも行けるかな・・とか・・・

やすがっぱとお友達に申し訳ないな・・・とか・・・

いろんな不安を抱えていたと僕ら5がっぱは思うんだ。

そんな時、やすがっぱが戻ってきてくれて・・・

やっぱり、やすがっぱはまゆがっぱと僕ら5がっぱのヒーローだよ!

きっと、一番心強く嬉しかったのはまゆがっぱだろうけどさっ。

無事に2人で長瀞に到着できて、良かったよ。。。

翌日、長瀞からの帰り道は昨日とうってかわって、雨にたたられた。

お友達と別れてから、2人はシャカシャカ、雨の中、シャー休みなしで、

帰り道を飛ばしてた。喉も渇いてきた、

そんな時、見つけたのが道端のプラムの自動販売機。

自販機の前で確か、おかわりもして、2人でプラムにかじりついてた。

思い出の酸っぱいプラムなんだよね・・・

 

今日のプラムも、やすがっぱの見立てで、すっ酸っぱい~!

でも、ジューシーでおいしい!

だけど、僕ら5がっぱは甘くてホクホクの焼き芋がいいなぁ・・・。

 

おわり

サイドストーリー:第12作:小さな世界と夏の夢

陽も落ちかけようとする暑い夏

「たすけて~」

と1匹のハチが蚊の大軍におそわれていた。

その数ざっと100匹はいたであろう。

1箇所に固まるとすずめかと間違えるような大きさだ。

 

大慌てで僕の部屋に飛び込んできた。

幸い夕暮れの涼しい風を入れようと窓を開け

網戸を閉めていなかった。

蚊のかたまりは、窓の入り口で急停止。

勢いで数匹の蚊は畳の上に急降下。

幸いとはハチにとってであり、

蚊にとっては不幸と言わざるを得ない。

母が僕の部屋に蚊取りせんこうを

置いてくれていたからだ。

 

ハチは、僕の部屋で八の字にになって

飛び回ってから壁にとまった。

大きさから言ってくまんバチやすずめバチ

ではなさそうなので、良く見てみると花粉団子を

いっぱいつけたミツバチだった。

 

ミツバチは、また八の字にになって飛び回った。

なにやら足につけた花粉を

あたりにまき散らしているようだ。

部屋中にほんのりあまい香りが立ち込めたと思ったら

僕はねむってしまったらしい。

なぜなら、

僕はミツバチになって青空を飛んでいたからだ。

 

 

向こうにキラキラと光る虫が飛んでいた。

2匹の「カナブン」である。 

 

僕はなんとなく彼らに近づき

天気を話題に話しかけてみた。

彼らは近くのくぬぎの木へ甘いミツをなめに

行くところだった。

「一緒にいってもいい?」と聞くと、

「ダメだね」と断られた。

それでなくとも激しい競争に勝たなければ、

おなか一杯にミツをなめる事ができないのだそうだ。

君の分で分け前が減ってしまうからと断られたが、

僕は樹液はなめないよと言うと、

それならばと一緒に飛んで行った。

 

「やった! 1番のりだ」

ここは僕が2年前まで通っていた

小学校の裏にある山だった。

カナブン達は、よろこんで

木のさけ目に出来た樹液をなめていた。

あちらこちらから、ガやショウジョウバエ

とんできて目立たないように、ひかえめにはじっこの

ミツをなめている。

土の中から、枯葉を分けてゴソゴソとクワガタが

はい出て木をよじ登ってきた。

すでに、小さなヨツボシケシキスイは

カナブンの体の下でミツを吸っている。

あとから、3匹の大きなカブト虫が飛んできたと思ったら、

大きな顔をして真ん中の一番甘いところを3匹で

占領されてしまった。

クワガタが低い位置から2本の角を伸ばして

抵抗したが、簡単にわきに追いやられてしまった。

ブーンと、2匹の怖い顔をしたすずめバチもやってきた。

カナブンも含めて端っこにいた虫たちは、

さらにすみに追いやられてしまった。

図鑑で見たよりも迫力のある顔である。

今の自分の立場がミツバチであるから、

木の葉の影からひっそりと見る事しか出来ない。

それでもカブトムシとクワガタは

平然とミツをなめ続けている。

 

 

ガサガサ。草をわけいる大きな音がした。

小学校に通う子供たちのようだ。

一瞬で身の危険を感じたクワガタは身を硬直させて、

落下し枯葉に混ざって隠れた。

すずめバチは一旦飛び上がって威嚇したが、

子供たちに石を投げられた。

すずめバチも逃げてしまったが、

カブトムシはそれでもなおミツをなめ続けていた。

僕らはみな木の後ろ側に避難した。

 

子供の手が伸びてきて、角をつままれ

引っぱられたカブトムシは木のハダに爪をかけて

ふん張っていたが、抵抗むなしく3匹とも捕まってしまった。

6本の足をギチャギチャとならし

ミツにみれんを残しカゴに入れられた。

子供たちは、残った僕たちには

見向きもせず行ってしまった。

すずめバチが戻ってくる前に、

ほかの場所へ移動しようとカナブン達が言ったので、

僕もついて行くことにした。

 

 

さっきのくぬぎの木からだいぶ山奥に飛んできたようだ。

そこは、しらかばの森だった。

そこにも、人間がいたが、先程のような子供ではない。

しらかばの木からミツを採っている大人だ。

 

カナブン達がミツにありつこうとしたら、

「ここは僕のなわばりだ!あっちへ行け」

とどなられた。

カミキリの幼虫がタテヨコナナメに

しらかばの木を食い荒らしていたのだ。

 

しかたなく、ほかの木へ移ろうとしたら

人間がこちらにやってきた。

カミキリの幼虫は、さっと木の奥へもぐりこんだが

お尻がまる見えだった。

不覚にもそのお尻をつままれ、中からつまみ出された。

そして、つるりと口の中へまるでうどんでも

すするようにたべられてしまった。

おじいちゃんに聞いた話だが、

昔は甘いお菓子などなかった時代には、

子供たちはこぞってカミキリムシの幼虫を食べていた

と聞いた事があった。

 

甘い甘いとニコニコと笑ってる。

 

 

正直「うぇ~」と思った。

そういえば、ハチになる前の幼虫も

食べちゃうんだよねと思いながらも

ショックで気を失い、

空から地面に向かって落ちていった。

 

気がついたらテレビの前のソファーに座っていた。

「世界では、資源確保による領土問題で戦争になっている」

と言うニュースが流れていた。

 

おわり