5kappafamily’s blog

知人と一緒に童話を作成しています。これから挿絵を入れて絵本にしたいと思います。

サイドストーリー:第7作:お誕生日までの小さな物語のプレゼント

1.

まゆがっぱから5がっぱたちは今日のお仕事をもうしつかりました。

芋掘りです。

さつまいも畑に行き、皆で綱引きのように並んでつるを引っ張ってみると

コロコロのお芋が土の中から顔を出しました。

5がっぱは、このお芋で焼芋を作ることにしました。

落ち葉を集めて、お芋を入れ、輪になってお芋が焼けるのを待ちます。

美味しくなーれと歌いながら。ほっぺは炊き火で真っ赤にしています。

焼きあがったお芋のひとつはやすがっぱにこれから届けに行くんだって。

頭の上にお芋のっけて川を泳いでいくらしいよ。

 

2.


僕ら5がっぱが、まゆ&やすがっぱに会ったのは

梓川上流の上高地にあるかっぱ橋

あの細くて長くて暗い釜トンネルを自転車で越えてきた、

2人はとびきりの笑顔だったんだ。

すごく誇らしげで、僕らの大事な上高地の山や森や川や空を

僕ら以上に慈しんでくれた。

僕らはどうしてもそんな2人と友達になりたくて、

リュックにしがみついて、初めて釜トンネルを越えて

吉祥寺にやってきたんだ。

そして、何もかもが初めての新しい生活がはじまった。

 

3.


川や山での生活しか知らなかった僕ら5がっぱは

色んなことを体験して、今じゃりっぱな吉祥寺人。

おつかいもお留守番もバッチリ。僕らこっちに来てから、

まゆかっぱに連れられて一緒にマラソンをするようになったんだ。

最初はなんか面倒だなーと思ってたけど、

雀のお宿になっている竹林で雀君たちと歌ったり、

ニワトリさんと追いかけっこしたり、水車で水遊びしたり、

四季折々の景色と風情を楽しみながら走ることは、

まゆがっぱだけでなく、僕らのライフワークになった。

水の中はとても神秘にみち溢れていて感慨深い世界だけど、

陸の上の世界も感動でいっぱいだよ。

まゆがっぱはさぁ、何故こんなに必死になって走るんだろう?

すごく不思議に思えた。だから、聞いてみたんだ。

そしたら、やすがっぱと出会ったのがマラソンだったから、

やすがっぱへの思いが続く限り走り続けたいんだって教えてくれたんだ。

僕らはまゆ&やすがっぱの友達だから、

2人を応援したいから走り続けることにした。

まゆがっぱは僕らの後ろから聞こえる

ぺたぺた、ぺたぺた、ぺたぺた

という足音を笑うけどさ。

 

4.


やすがっぱとまゆがっぱからは

水の匂い・緑の匂い・日向の匂いがする。僕らと同じ匂いがする。

普段は、カッコつけて仕事してるようだけど、

いざ遊びに行くとなると、まるで子供なんだよなー。

僕らと同じものに興味をもち、同じものに喜んで、

疲れ果てるまであそびまくるんだもん。

どこかに出かけるときにまゆがっぱはやすがっばや僕らの為に

でっかいおにぎりと玉子焼きを作ってくれる。

そして僕らには、おこずかい500円をそれぞれに持たせてくれる。

最近、僕らは生意気にもこの500円の値上げ交渉を試みているんだけど、

現在は却下されつづけてる。

まゆがっぱが渡してくれる500円は

僕らに色んなものをもたらしてくれる宝物なんだ。

僕らの使い方次第で、無限大の夢が広がる魔法のアイテム。

なんたって、まゆがっぱの僕らへのあったかな思いがたくさんつまった

500円玉だからさ!

 

5.


まゆがっぱは温泉が大好きなんだ。

だから、時間とお金のやり繰りがつくと、自分ややすがっぱへの、

そして僕らへのご褒美にあちこちの温泉に浸かりつつ、

季節を満喫しに出かけるのを、とても楽しみにしている。

たまたま目を通した新聞広告に

バスでの送迎付温泉ツアーを見つけたまゆがっぱは、

とにかく電話をしまくり、妙高高原の温泉バスツアーを予約したんだ。

ホテルに着くなり、露天風呂に飛び込んだまゆがっぱは、

黒い薬湯で底が段になっているのに気がつかず、

段を踏み外し、頭から温泉ダイビング!

僕らは可笑しくて、声に出して笑うと怒られるから

まゆがっぱに背を向けて肩ふるわせてた。

まだ500円玉を上手に遣うことができなくて、

バスの休憩で立ち寄るサービスエリアで、とにかく色んな物を買って食べ、

あっと言う間に500円はなくなってしまった。

これはまゆがっぱにつられて、食べたくなっちゃったんだけどね。

まゆがっぱはすごく美味しそうに、パクパク色んな物をたいらげてたもんなー。

いもり池という正面に妙高山を映すちいさな池があって、

回りを白樺の林に囲まれたちいさな池には、カモ君がたくさん泳いでた。

まゆがっぱたちは池のほとりの足湯に浸かり、

キノコ汁やキノコご飯を食べてたけど、僕らはおこずかいを使いきって、

お腹がペコペコだったんだ。

そこで僕らは、池のカモ君を捕まえて鴨ローストを作ろうと相談して、

一人ずつ一羽のかもを捕まえることに成功。

捕まえ食べてしまおうとした僕らたけど、

おっとりした疑うことを知らないカモ君たちを連れて歩いてるうちに

すっかり仲良しになり、空腹なんかより新しくできた友達と

過ごす楽しさが大事になっちゃった。

さすがに大滝に行く道すがらであった太っちょ猿軍団には

怖くて友達になれなかったけどね。

意気投合したカモ君は僕らと一緒に吉祥寺にやってきた。

吉祥寺かっぱ邸はさらに大所帯。賑やかな毎日になっていったんだ。

まゆがっぱが仕事に出かけて行った後、僕らはカモ君たちを連れて、

井の頭公園の池に遊びに行くんだ。

大きな鯉の背中にまたがり、セイリングしたり、カモ君と水遊びを存分に楽しむ。

まゆがっぱが帰ってくると、バスタブで甲羅を磨きっこ。

カモ君はシャンプーがお気に入りで、狭いお風呂は大混雑になってしまうんだ。

一日の終わりには、クタクタでまゆがっぱのお腹や足を枕に

おへそ丸出しで眠ってしまう。

これが気持ちいいんだなー。


追伸:5がっば、もちつき大会に出かけたので、おしるこ、食べさせてやってくださいまし。

後、のりをまいたやきもちも。よろしくです。

 

6.


僕ら5がっぱと5カモはまゆがっぱとやすがっばが

よく訪れる道志も大好きになった。

素朴な自然っていうのかな、優しい自然っていうのかな、とにかくステキなとこなんだ。

カモ君たちは今まで小さな池しか知らなかったから、

川の澄んだ水とその流れに目をパチクリさせて驚いてた。

僕らは川育ちだけど、その清々とした流れにはやっぱり目をみはったよ。

夏には蛍さんの舞いに見とれ、秋には林間のマラソンに参加して

紅葉の真っ赤なブローチを胸に飾るんだ。

ひなびた八百屋さんの脇のつり橋を渡り、少し歩くと、

絶好のお茶ボイントがあるんだ。

まゆがっぱたちはそこでミルクを温めたり、ひと息つくのがお気に入り。

僕らは道志川でカモ君たちとヤマメやあゆたちと遊んたり、

沢がに君にいたずらしてみたり、どんぐりや栗ひろいしたりと

楽しいことづくしなんだ。

そして、道の駅に守り神のようにして建っているかっばさんに頼まれて、

アルバイトもするよ。やっぱり、誰だって息抜きは必要だもんね。

即席の道志の守り神に変身!道の駅のかっぱさんをしばらくだけど、

自由にしてあげるんだ。

そして、帰り際に川や山をながめながら、道志のお湯にゆっくり浸かっていると、

心も身体癒される。

 

7.


やすがっはその年の春頃から背中が痛いといいはじめた。

春から夏もその痛みは続き、冬には胸の激痛に変わった。

僕らがかっぱの妙薬をぬってあげてもその痛みは止まらなかったんだ。

病院でいろいろな検査をして、ようやく原因がわかった。

脊髄の中に腫瘍ができてた。手術しなければいけなかった。

腫瘍のでき具合によっては、下半身不随の恐れもあると聞かされ、

やすがっぱはもちろん、まゆがっぱも心が砕け散りそうだったはず。

そんな中、やすがっぱのお誕生日が近かったので、

まゆがっぱは準備していたプレゼントの温泉ツアーを止めるか行くか

悩んだみたいだったけど、場所が近くだし、温泉でゆっくりして、

やすがっぱの気持ちを和らげることを重視して行くことに決めた。

この日、僕らはいつものように500円とおにぎりを持って川づたいに、

まゆがっぱたちは電車に揺られ根府川を目指した。

根府川の駅に着くとホームから2月とは思えない穏やかな陽の光に

キラキラと輝く大海原が広がっていた。

そして山あいの段々畑には青い空と鮮やかなオレンジ色のみかん畑が。

僕らもカモ君も海を初めて目にして、その大きさにびっくりだった。

そして、その水は池や湖と違い、しょっぱいと聞いて、またびっくり。

この日のお宿は露天風呂付きログハウスでやすがっぱをとても喜こばせた。

そして、木の上に作られたお風呂。ログハウスといい、ツリー風呂といい、

まゆがっぱはきっとこのサプライズでやすがっぱの抱える

腫瘍や手術や仕事の不安を和らげられると思ったんだろうな。

みかんを食べ、食べ終わった皮をお風呂に投げいれ、

みかん風呂にしたり、やすがっぱも僕らもカモ君もお風呂を満喫。

カモ君なんかみかん風呂でかも肉のローストオレンジソースがけのように

美味しそうな感じになってた。

あははっ。

夜には、星ヶ山というその名前の通り、満天の星がかがやいていた。

まゆがっぱはお風呂に浸かりながら、その星空に手術が上手くいって、

早く元気になりますようにと祈ってたっけ。

そんな清楚なまゆがっぱは、翌日山あいの散歩をしていたとき、

線路上の石壁を登ると言い出した。やすがっぱは痛み止めの薬を飲む状態なのに。僕らは心配で・・・呆れてしまった。やすがっぱも呆れながら、

それでも、言い出したらきかないまゆがっぱに付き合い、

笑いながら石壁越えをし、雑林で沢山のイガイガの実をコートにくっつけて

悪戯っ子みたいだったよなー。

道路に出てからコートのイガイガ取りを甲羅干しながら座りこんでしてたっけ。

それがあまりにも2人らしくて、僕らは笑っちゃった。

そんな2人だから僕らは大好きなんだ。

 

8.


まゆがっぱは会社に行きながら、スポーツクラブの先生もしてたんだ。

この頃までは。自分の好きなことだから大丈夫と頑張ってたけど、

身体を休める日なんて、ほとんどなかった。

自分の為に使える時間は少なかったけど、

その時間を大事に使おうとする気持ちがもっと大きかったから、日々大奮闘してた。

だけどまゆがっぱは、会社での仕事が毎日毎日遅くまで続き、

自分のトレーニングができず、体力がおちていって、

このまま教える立場でいるべきではないと、先生を辞めることを決めたんだ。

決めた日から、最後のレッスンまで、まゆがっぱは悔いのないよう

一生懸命にレッスンに取り組んだ。

僕らもレッスンに初挑戦してみたけど、

すごい汗で、まるで水の中を泳ぎ終えたようになったよ。

そして翌日は身体中が痛くておきあがれなかった。

迎えた最終日、まゆがっぱはピカイチの笑顔でレッスンを終えた。

最後まで笑顔でね。僕らもカッコよく踊れたよ!

何たってまゆがっぱはスパルタだったから。

水陸万能かっぱなんて僕らしかいないよなー。

えっへん!

レッスンを終え、まゆがっぱがスタジオをでようとしたとき、

クラブのスタッフの人が最後のショートレッスンをまゆがっぱに任せてくれ、

閉館までスタジオを使えるように配慮してくれた。

生徒さんからも持ち切れない花束と絶えない拍手を貰い、

まゆがっぱはとうとうないてしまったんだ。僕らもおもわず、貰い泣きしちゃったよ。

まゆがっぱの自分の好きなことに向けて頑張ってきた姿は皆に通じていたんだ。

僕らのまゆがっぱがとても大きく見えた瞬間だった。

 

9. 

    

腫瘍の手術を無事終えたやすがっぱはすごい勢いでリハビリに取り組んだ。

さすが負けず嫌いのやすがっぱだ。

春に手術、なのに秋にはフットサルのチームに加わり、

ボールを追いかけることに夢中になってた。

ずっと抱えてる腰痛があるから、100%全快でというわけにはいかないけど、

絶対にあきらめず出来る事を楽しむそのやすがっぱの生き方に

僕らは清々しい気持ちでいっぱいなったよ。

道志村の恒例林間マラソンも、

体力が落ちてしまったまゆがっぱの手を引いて完走。

僕らも手をつないでドタバタとゴールイン!

2人といるとなんか頑張っちゃうんだよな。まゆがっぱの生き方もすごいけど、

やすがっぱもすごい!2人はさぁ、それぞれが互いに相手に恥ずかしくないように

頑張りあってる良いライバルにもなっていると思うな。

2人に負けてられないからさ、陸上より、水上が得意な僕らもカモチームと

水上フットサルの練習を始めたんだ。水球って感じかな。

あゆ君や山女君やこい君のヘディングがなかなか手ごわいんだよ。

やすがっぱもチームにいれてあげようかな。

水の中だったら、腰ちょっとは楽かもね。

まゆがっぱもやるっていいそうだなー。

仲間はずれにすると、まゆがっぱ、手をつけられないほど、いじけるからなー。

そういえば、まだ僕らがやってくる前、水上にラフティングとパラグライダーを

しに行って、まゆがっぱだけパラで山から飛べず、ひたすら走りまくって、

いじけまくって大変だった、とやすがっぱが言ってたっけ。

わかる気がする・・・

 

10.


 ある夏の日の朝、いつものように僕らは500玉とおにぎりを持って、

三浦半島を目指した。やすがっぱのお母さんのお墓参りに行くことになった。

どんどん川を下っていくと、少しずつ磯の香りが強くなってきた。

海まで出たら、お寺までは登り坂が待っている。

お参りを終えたら、三浦西瓜をごちそうしてくれるとまゆがっぱは約束してくれた。

もちろん、キュウリは大好きだけど西瓜も僕ら大好物なんだ。

だから、お墓のお掃除も登り道も、頑張ろうっと。

でも、最後の登りに挑む前にひと休みっと。おにぎりタイムをとることにした。

海を眺めながら、おにぎりをほうばってたら、大きな鳶達が近くに寄ってきた。

あまりに気持ちの良い風にお腹がペコペコなのも忘れて

大空を飛び回っていたらしい。

でも、僕らのおにぎりがあまりに大きくて美味しそうだったから、

鳶君たちが空から舞い降りてきた。

そりゃぁ、まゆがっぱは不器用だから、

おにぎりはとてつもなく大きいし、形はいびつだけど、

美味しくなーれという気持ちがしっかり握り込まれてるから、

美味しく見えるわけだ。

僕らは鳶君たちにおにぎりをわけてあげた。

すると鳶君たちはお礼にと、僕らを背中に乗せ、お寺まで送ってくれた。

僕らは水の中だけでなく、陸上での楽しみも、そして鳶君のおかげで

空を飛ぶ素晴らしさも知る事ができた。

新しい仲間がふえたしね。お墓に着くと、もうお掃除も終わり、

まゆがっぱがやすがっぱのお母さんに一生懸命話しかけていた。

やすがっぱを守って下さってありがとうございますと・・・

また、2人で過ごせる時間をありがとうございますと・・・

これが言いたくて、まゆがっぱは三崎のお墓参りに行こうと

やすがっぱを誘ったんだろうな。

やすがっぱが手術を終えてから、初めての三崎へのお墓参りだったからね。

そして、お供えした西瓜を持って海岸まで戻り、カモ君や鳶君と

みんなで賑やかに食べた。

いかのゲソ焼きとかき氷もおいしくて、夏の三浦を思いきり楽しむことができたよ。

 

11.

    

まゆがっぱとやすがっぱの温泉道中、今回は箱根。

箱根神社でおちあうことにして、500円玉とおにぎりさんを持ち、

カモ君を連れ、吉祥寺を出発した。

今日のお宿では、きんめだいの煮付けが一匹、ドーンと出て来るとの

まゆがっぱ情報にカモ君がとても張りきっている。

待ち合わせの箱根神社では、ちょうど節分だったので豆まきに参加。

やすがっぱは身体が大きいから飛んでくる豆を結構たくさんキャッチしていたが、

まゆがっぱは人波に揉みくちゃにされ収穫なし。

僕らとカモ君、豆まきは最初からリタイアすることにして、

神社の境内で配られていたわかさぎのフライに舌鼓をうっていた。

縁起ものの御神酒もちょっぴり頂き、ポッカポッカのいい気分を味わった。

この後、富士山を眺めながら芦ノ湖の散歩やあちこちの湯巡りと

箱根を満喫したが、カモ君たちの様子か妙にそわそわ落ち着かないんだ。

楽しみにしていたはずのきんめだいの煮付けが出ても、気がそぞろ。

やすがっぱが一生懸命食べてたっけ。

お風呂に浸かりながら、カモ君にどうしたのか尋ねてみると、

芦ノ湖のカモちゃん達に恋しちゃったらしい。

いもり池では会ったことのないような洗練されたカモちゃんと

芦ノ湖の美しさにかなり心を惹かれたみたいだ。

僕らはまゆがっぱややすがっぱと相談して、

芦ノ湖にカモ君を残して帰ることに決めた。

まゆがっぱは帰りたくなったら、いつでも、かっぱ邸でもいもり池でも帰れるように

カモ君たちそれぞれの首に500円玉のネックレスをかけてあげたんだ。

自分たちの思うように生きなさいって。

それはまゆがっぱのおかあさんがまゆがっぱにかけてくれた言葉なんだって。

そして、まゆがっぱは、カモ君たちにこうも言った。

沢山のいろんなところにいる仲間がどんな時も力を貸してくれるはずだから、

頑張ってね・・・と。

 

12.


やすがっぱもまゆがっぱも僕らと一緒でやっぱり信州が大好きだ。

今はなき愛車のチェロちゃんに自転車を積んだりしてはよく訪れていた。

だから、僕らは2人に出会えたんだけどね。

この日はまだ暑さが残る9月初め、蓼科でおちあう約束をして僕らは出発。

山梨を越えたあたりから、空の青さがどんどん色濃くなり、

空気がおいしくなって、白樺の木が目立ち緑が鮮やかになってきた。

蓼科ピタラスロープウェイ山麓からは山登りだ。

まゆがっぱはおにぎりの他にチョコやら、とうもろこしやら、

美味しいそうなものをたくさんリュックに詰めているから、

それを楽しみに登っていこうっと。

登り口付近は森林浴をしながらの山登り、しばらくすると高原みたいに

草原地帯が広がる。ここまで来ると、やはり吹く風はひんやりと秋って感じだ。

ひと汗かいたところで、もろこしタイム。

さっき買ったりんごもジューシーでおいしい。小腹を満たし水分補給もバッチリ。

さあ、後半はゴツゴツとした岩場。この岩場を越えれば、頂上。

抜群の景色と赤トンボの群れに巡り会える。

ドキドキしちゃうなー。

頂上に着いてみると、雄大な景色は広がっていたけど、

赤トンボさんの姿はなかったんだ。

この時は頂上からちよっと下ったところに小さな池を見つけて、

「こんな山頂に池だー、泳いでくる」と大はしゃぎしていてよく考えなかったけど、

季節が変わり始めていたことに下りになってから気がついたよ。

いち早く秋の訪れをキャッチした赤トンボさん達は山を下り、

中腹の草原地帯に移動していたんだ。

陽の光の中を僕らが下っていくと話しかけるように回りに集まってきた。

やすがっぱや僕らに羽を休めるトンボ君もいる。

懐かしいような癒されるような素敵な光景だ。

これは、信州でしか見られない・・

えっへん!

赤トンボ君はやすがっぱや僕らには止まるのに、なぜかまゆがっぱには止まらず、

まゆがっぱは僕らをとても羨ましがってた。

翌日は帰り道、原村に寄り道。ずっと前、チェロちゃんと川岸で星を眺めながら

夜を過ごしたことを思い出したよ。

輝く星空ってああいうのをいうんだなとあらためて思ったよ。

そして今日はぬけるような高い高い青空の下だ。

パンやトマトやプラムやキッシュをほうばる。

心も身体も元気になるよなスカッと爽快なお天気だ。

自然の中で沢山の仲間と触れ合って、沢山の感動をもらう、

そんな中で毎日を過ごしていた僕らが、

まゆがっぱややすがっぱと一緒に帰るのは、

この自然の美しさと人の温かさの両方を大事にし続けたいからなんだ。

僕ら欲張りかな?

2人の傍にいるとほんとにしあわせなんだ。

2人でなかったらついて来なかった。

僕らは吉祥寺のまゆがっぱの家のかっぱでいられることが自慢なんだ。

季節は移り、寒さこたえる今日はやすがっぱの誕生日!やすがっぱ、おめでとう!(^_^)v

                  おわり